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?E上記に挙げた取決めについては、継続的取引関係にある特定企業間において取引の効率性を求めた結果、締結されるものである。

一方、今後オンラインショッピングやネットワーク上における部品のスポット取引など不特定多数の企業及び消費者による一時的な取引の拡大の可能性があり、このような市場型の取引については、継続的な契約関係ではないため、予め上記のデータ交換協定を締結することができない(会員制の場合は会員に入会する際にデータ交換協定と同様の契約を締結することが考えられる)。よって、契約の安全性を確保するために、上記のデータ交換協定書の参考試案も参考としつつ、基本的な取引ルールを検討することが必要になると考えられる。

 

かかる観点から、契約の成立にかかるいくつかの論点について、整理してみる。

(1)契約の成立時期

●ネットワーク上の取引における契約の成立時点を設定する必要があるのではないか。

?@従来の書面による取引とは違い、電子商取引においては契約の成立の時期が問題となる。民法では、契約は申し込みの意思表示と承諾の意思表示の合致によって成立する。その際、電子商取引は隔地者間の取引という前提において、成立の時期は、承諾が発信されたとき(発信主義)であるというのが民法の原則(民法第526条)である。

 

(参考)

民法第526条(隔地者間の契約の成立時期)

?@隔地者間の契約は承諾の通知を発したる時に成立す。

 

?A従って、どのデータが民法上の承諾に該当するのか、どの時点がそれに該当するのか、また、発信された承諾の通知が発注者に到達しなかった場合、その事由が通信回線の障害である場合等も想定した上でどのようなルールを設定すべきか検討する必要がある。

 

?B発信主義の原則を取り入れれば、例えば、承諾のメッセージをメールボックスに入れたときが契約成立の時ということになるが、発信主義は、もともと書類の送付しか意思伝達手段がなく、契約の承諾行為の到達に相当の日数を要する時代に、迅速な取引を図る観点から取り入れられたものであり、しかも、相当な確実性をもって相手に届く環境のもとでは、発信主義が果たして妥当か、今後、検討する必要がある。

 

 

 

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