?@従来の書面による取引とは違い、電子商取引においては契約の成立の時期が問題となる。民法では、契約は申し込みの意思表示と承諾の意思表示の合致によって成立する。その際、電子商取引は隔地者間の取引という前提において、成立の時期は、承諾が発信されたとき(発信主義)であるというのが民法の原則(民法第526条)である。
(参考)
民法第526条(隔地者間の契約の成立時期)
?@隔地者間の契約は承諾の通知を発したる時に成立す。
?A従って、どのデータが民法上の承諾に該当するのか、どの時点がそれに該当するのか、また、発信された承諾の通知が発注者に到達しなかった場合、その事由が通信回線の障害である場合等も想定した上でどのようなルールを設定すべきか検討する必要がある。
?B発信主義の原則を取り入れれば、例えば、承諾のメッセージをメールボックスに入れたときが契約成立の時ということになるが、発信主義は、もともと書類の送付しか意思伝達手段がなく、契約の承諾行為の到達に相当の日数を要する時代に、迅速な取引を図る観点から取り入れられたものであり、しかも、相当な確実性をもって相手に届く環境のもとでは、発信主義が果たして妥当か、今後、検討する必要がある。